企業の実践例

平成27年度 京都市「真のワーク・ライフ・バランス」推進企業表彰 特別賞株式会社minittsカブシキガイシャミニッツ

平成24年11月に開業した,100色限定のステーキ丼専門店・佰食屋は,連日お昼で完売する人気店。

忙しい店ながら,女性オーナーの中村さん自らがワーク・ライフ・バランスを意識した働き方を実践し,女性社員が働きやすい職場環境づくりを促進しています。

中村さんとともに,いきいきと働く姿が印象的な女性社員の方にお話を伺いました。

 

(平成28年1月発行,真のワーク・ライフ・バランス通信6号より抜粋)

ワーク・ライフ・バランス向上への取り組み

  1. 短時間勤務制度

    子どもの年齢制限なく,育児のための短時間勤務制度を利用可能

  2. フレックスタイム制度

    子どもの保育園等への送迎を理由としたフレックスタイム制度を導入

  3. 残業の削減

    従業員の残業をなくすために,人材の確保を工夫

  4. 出産後の職場復帰支援

    出産後,早期に職場復帰したい女性職員のために,託児所の確保や費用の負担を行っている(本市補助金利用)

代表取締役中村 朱美 さん

社員の働き方を考えた 百食限定へのこだわり

社員の働き方を考えた
百食限定へのこだわり

 夫婦2人で開店して3年。朝から整理券を求めて行列ができるほどの人気店になっても,100食限定のスタイルは貫いていきたいと語ります。その理由とは。

 「100食限定なのは品質を安定させることはもちろん,スタッフの労働環境を意識してのことです。ハードなイメージがある飲食店で,働きやすい職場をつくるのが開業当初からの目標でした」と代表取締役の中村朱美さんは語ります。定時を設けているものの,仕事が終われば早く帰ることができ,それが社員のモチベーションにもつながっているそう。そして自発的に仕事の工夫をしたりチームワークを高めたりと,いい波及効果をもたらしたと言います。

 「お客様は当然大切ですが,経営者としてはやはりスタッフを大切にしていきたいという思いが強いです。お店を好きだと感じてやりがいを持って働いてくれれば,その思いはお客様にも必ず伝わると思いますので・・・」。その思いから,飲食店には珍しく店のスタッフはほとんど正社員。接客の質を安定させることもでき,店の良い雰囲気づくりにつながっていることを中村さんは実感しています。

 

自らが実例となり
女性が活躍できる社会へ

 平成26年6月に出産し,子育てにも奮闘中の中村さん。育児のための短時間勤務制度を子どもの年齢上限を定めずに設け,自ら率先して利用しているそう。「私が前例となることで社員の皆が制度を利用しやすくできればと考えています。また現状の制度にこだわらず,何かあれば臨機応変に対応するのが会社のモットー。定期的に社員との個人面談を行っていますが聞き役に徹し,皆の抱えている問題や意見を聞く時間にしています」。実際に社員の意見を反映させ有給休暇を3分の1に分割できるようにしたり,フレックスタイム制を導入したりと,子育てとの両立を積極的にサポート。京都市「真のワーク・ライフ・バランス」推進企業支援補助金を託児所の費用として利用するなど,女性経営者ならではの視点が随所に感じられます。

 「女性の私が起業したのは,育児と両立しながらでも働きやすい職場を自らの手でつくりたかったから。そしてそういう会社を女性でもつくれるのだという,実例にしたかったからです」と力強く語ります。そんな中村さんは今後,同じような志を持つ女性起業家を支援したいという思いもあるそう。

 そして中村さんがお店の経営者として思う,一番の願いとは。

「10年,20年先もずっと同じメンバーで働いていきたいと思いますし,皆が同じ思いを持っていてくれたら嬉しいですね。それを目標に頑張りたいです。」

店長田中 美秀 さん

社員一人ひとりが 自発的に行動

 国内外から多くのお客さんが訪れる佰食屋。特に韓国人の観光客に人気で,3~4割を占める日もあるのだとか。

 「留学していたときのルームメートが韓国人だったので,韓国語を少し覚えており,それを接客で使用しました。他のスタッフにも簡単な韓国語を覚えてもらうためにメモをつくって渡したり,全員で勉強会を行ったりしました」と話すのは店長の田中美秀さん。今ではスタッフの全員が,韓国語で挨拶や料理の説明をできるようになったと言います。時には地図を書いて渡すなど,誰の指示がなくても,社員全員が自ら考えて行動しているそう。

 「一人が行動すると皆も一緒に取り組もうとする雰囲気があります。和気あいあいとしてコミュニケーションを取りやすい環境だと感じています」と,店長として感じる職場の雰囲気を語ります。

 今の働き方を理想だと考え,今後も現状を維持していきたいという田中さん。結婚しても子育てしながらでも,この店でならずっと働きたいと思っているそう。中村さんの「20年先も今の社員で・・・」という願いは叶えられそうです。

従業員前田 明日香 さん

相談しやすい環境で 子育てとの両立を実現

 「最初は子育てと両立できるか不安でしたが,子どもの発熱などの急な問題にもこころよく対応してくれるので,とても助かっています。中村さんや店長には,プライベートな相談に乗ってもらうこともありますよ」と話すのは短時間正社員の前田明日香さん。有給休暇の分割制度などを活用して,幼稚園への送迎や行事の参加もスムーズにできているそう。

 「子どもが小学校に入学したら,フルタイムで働くことも考えたいですね。あと,接客のために英語も勉強したいです」と仕事への積極的な姿勢を語ってくれました。

株式会社minitts

事業内容 飲食業
本社 京都市下京区西木屋町通四条下る船頭町187
HP http://www.100shokuya.com/