企業の実践例

平成26年度「真のワーク・ライフ・バランス」推進企業 市長賞 株式会社藤井大丸株式会社 藤井大丸カブシキガイシャ フジイダイマル

 「真のワーク・ライフ・バランス」の推進に貢献する取組を意欲的に行っている企業として、平成26年に市長賞を受賞した藤井大丸を訪問。社員のワーク・ライフ・バランスを高めるための制度をどのように整えているのか、またその背景にある会社の雰囲気や今後の課題についてお話を伺ってきました。仕事と家庭生活を両立させながら、いきいきと働く女性社員の姿が印象的でした。

業務推進部 部長内藤 篤さん

◆長期休暇を可能にする有給休暇の積立て制度◆

◆長期休暇を可能にする有給休暇の積立て制度◆
 
藤井大丸の年次有給休暇の積立ては最大300日。リフレッシュ休暇などさまざまな有給休暇制度もあり、社員がワーク・ライフ・バランスを実現しやすい環境にあると言います。
 「充実した有休制度は、病気になったときの長期療養や家族の介護などに利用できるのが心強いです。私のかつての上司が制度を利用し、奥さんの看護で1年間休んだことがありますよ」と話す内藤さん。一度は辞職しようとした上司が制度を利用することにして思いとどまり、周囲も協力することで定年まで勤めることができたと語ります。
 制度が機能するためには、ほかの社員の協力が不可欠。1年間という長期の休暇に対して理解を示す上司がいて、サポートする職場の雰囲気があるからこそ実現できるのだと伝わってきます。

 

業務推進部 課長上杉 雪恵さん

◆社員の声を反映させて,働きやすい環境をつくる◆

◆社員の声を反映させて,働きやすい環境をつくる◆

 社員の半分以上を女性が占める藤井大丸は積極的な女性の登用に向けた取組など、女性の活躍を推進しています。社内の制度をみても、育児のための短時間勤務制度を小学校3年生の年度末まで取得可能とするなど女性が働きやすい制度が目立ちますが、それらは時代とともに徐々に整えられていったのだと言います。
 「短時間勤務制度の利用者は現在9名おり、利用を予定している社員も2名います。もともとは法定の3歳までだったのですが、延長してほしいという社員の声がありまして。それで最初は小学校1年生の5月末までに改定されたのですが、また現場からの要望を受けて現在の期間になりました」と、上杉さんは語ります。制度を改定するときに、社員全員に『短時間勤務の取得は何歳の子どもまでが妥当だと思うか』というアンケートを取り、その意見も反映されたそう。
 「家族的な社風なので声を上げやすく、また通りやすい環境にあると感じますね。育児休業制度の利用者も多く、ほぼ100%の社員が復帰しますし、そのような制度を利用することが当たり前となってきているように感じます」。取得実績を重ねていくうちに周囲も少しずつその状況に慣れ、フォローできる体制が整っていったと話す上杉さん自身も結婚、出産を経て職場復帰した社員のひとり。
 「育児休業前と同じ部署に復帰できるように調整されるので、入社当初から現在までずっと同じ部署で働けています。短時間勤務制度の利用者が多い部署は人数を多く配置するなど、フォロー体制も工夫されていますね」。育児と仕事を両立する女性が増えてきた時代、多様な働き方を支えるためには制度や社内の体制など、さまざまなサポートが必要となってくると感じます。

 

◆2度の受賞を受けて次の課題に取り組む◆

 「今後は増えると予想される社員の介護の問題にも取り組んでいかなくてはいけません。今のところ充分な有休日数の積立てがあるので補えていますが、社員の休暇の理由に介護に関する内容をよく目にするようになりましたので。また、半日有休があったらという声があり、そこも新たに考えていきたいところ」と課題を見据える上杉さん。社員の声が届きやすいからこそ、検討内容も尽きません。
 現在は火・木曜を『エコCO2排出削減デー』と定め、21時消灯を推進していますが、これには社員に対してプライベートの時間を大切にしてほしいという思いも。エコに関する取組と個人のワーク・ライフ・バランスをつなげて考えていくことも、これからの時代に求められることだといえます。
 平成20年度には京都市から、『きょうと男女共同参画推進宣言事業者』として表彰を受けている藤井大丸。最後に、2度の表彰について感じていることをお聞きしました。
 「会社がワーク・ライフ・バランスを推進させようとして制度が整っていったというより、そのようなライフスタイルを望む社員が増え、会社としてできるだけ対応しようとした結果だと思います」と上杉さん。あくまで自然に、必要な制度を整えた結果だからこそ、社員が本当に求める制度となっていったのだと感じられました。
 

株式会社 藤井大丸

事業内容 百貨店
本社 京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町605
HP http://www.fujiidaimaru.co.jp/