市民の実践例

平成27年度「真のワーク・ライフ・バランス」実践エピソード表彰「大家族奮闘賞」受賞筑紫貴美さん

ここでは,平成27年度「真のワーク・ライフ・バランス」実践エピソード表彰で,「大家族奮闘賞」を受賞された,筑紫貴美さんのエピソードを紹介します。

「大家族奮闘賞」

私は小学生3人の子育て真っ最中の母です。76歳の私の父と母の7人家族。平日の8時半から3時45分まで仕事をし,小学校のPTA役員3年目。仕事はずっと立ちっぱなし。うちに帰ると子ども達の習い事(ラグビー・スイミング・陸上と週4日)の送迎。夜にはPTA役員会等。でもでも,誰と約束をしたわけでもありませんが,私には絶対的な決まり事があります。それは『子ども達には手作りの食事を』ということ。私がそうして育ったように,どんなに忙しくてもそこだけは譲れません。しかし,元気いっぱい体を動かし,おなかをすかせた子ども達が帰るまでに,ご飯の準備をする時間は,わずか1時間程度。限られた時間の中,ある程度限界はあります。大量に炊いた肉じゃがの次の日は,じゃがいもを加えてコロッケに。またまた大量に炊いた筑前煮の次の日は,余った具材を細かく切って,酢飯に混ぜ込み,ちらし寿司に。ミートスパゲッティーの具をたくさん作り,次の日にはご飯の上にのせチーズをのせてオーブンでチン。ドリアに変身です。同じ食材が二日も続き,「ごめんね~」と思いながらもなんとか乗り切っています。子ども達は,「今日の晩御飯は〇〇だ,じゃあ明日は〇〇やな」と純粋な気持ちで言います。私は「やばい,バレてる」とドキッとします。

3年間PTA役員をし,子ども達には夜の会議のたびに寂しい思いをさせて申し訳ない思いがあります。しかし,子ども達は「お母ちゃん,今日会議?ヤッター!今日はカレーや!」と言います。まさしくそのとおり,夜に会議がある日は,カレーライス?炊き込みご飯?親子どんぶり?冷麺でしのいでいます。いつも「残業,残業」と帰ってくるのが遅い主人も,私が会議で留守にしている日は,気にかけ早く帰ってきて,子ども達の宿題を見てくれます。おじいちゃんやおばあちゃんも一緒です。子ども達と一緒にお風呂に入ってくれたり,将棋やオセロをしてくれています。

私は会議の帰りに,「もうあと10分で帰るね」と子ども達に必ず電話をいれます。少し早い目に家に着くと,我が家から聞きなれた大きな声が。「もうすぐお母ちゃんが帰ってくるから,それまでにお茶碗を洗うぞ!」や「じゃあ私は洗濯物たたむわ!」と3人の声とバタバタと走る音が聞こえます。それまでゆっくりとくつろいでいても,私が帰ってくる前には,3人で協力し,少しでも私の負担を軽くしてくれているのでしょう。うれしい気持ちで,玄関でこっそりと微笑んでいます。そして,「来年もPTAの役,やってな。僕(私)が卒業するまでずっと続けてや」と言います。

「げっ,あと3年もあるやん,勘弁してよ」と胸の中で思いながら,「なんで?」と聞くと,「だってお母ちゃんが役をしてると,近所のおっちゃんやおばちゃんが「おはよう」や「おかえり」って,ちょっと恥ずかしいけど,みんながいっぱい声をかけてくれはんねん」や「お母ちゃんがいろんな先生と楽しそうに喋ってるの見るとうれしいねん」等々。うれしいような,悲しいような複雑な気持ちです。

 

毎日バタバタと忙しい私の唯一のリフレッシュは,土日祝日に,子ども達と一緒にいろいろなイベントや行事に参加することです。ファミリーバドミントン大会に出場したり,親子サッカー教室で一緒に走ったり,地域のコミュニティセンターの卓球教室や社会見学バスツアー,工作教室や生け花教室。季節ごとの野菜や果物の収穫体験,紙飛行機作り大会やこま回し大会,梅干しの種とばし競技,植樹運動やクリーン運動等のボランティア活動,スーパーのジャンケン大会等,様々。何も行事がない日は,朝からみんなでお弁当を作って公園で日向ぼっこ。雨の日は図書館へ行って本をいっぱい借りてきて,読み聞かせ大会をうちでやっています。こうして子ども達との休日を満喫しています。そうしてまた一週間頑張れます。

勤務先では,子ども達の授業参観や学校行事,PTA行事等に快く参加させてくださいます。今まで他の保護者の方が出席で,私が欠席をしたことは一度もありません。仕事のせいで子ども達に寂しい思いをさせたことはありません。これはひとえに勤務先の皆さんのおかげです。

私のワーク・ライフ・バランスは,勤務先はもちろんのこと,両親や主人,子ども達の『小さな気づかい』と『思いやり』のおかげで,今の生活を送ることができています。人より忙しくて大変な毎日かもわからないけど,毎日毎日走り続けている気がします。その方が,私には向いているかも・・・。と思う今日この頃です。