あの人に聞く「真のワーク・ライフ・バランス」

仕事と家庭の両方で広げる「食」への関心タレントギャル曽根さん

大食いタレントとして数々のテレビ番組に出演し,老若男女に愛されているギャル曽根さん。仕事だけでなく,二人の子どもの母親としても食への関心を深めています。そんなギャル曽根さんに,仕事と家庭を両立しながらイキイキと輝く秘訣を伺いました。

【ギャル曽根さんのプロフィール】
1985年生まれ。京都府舞鶴市出身。大食いタレントとして数々のテレビ番組で活躍。調理師免許を持ち,料理好きとしても知られる。お子さんが生まれてからは家族に野菜を食べてもらいたいと野菜ソムリエの資格を取得。食や食文化へも関心を広げている。

ギャル曽根さん インタビュー

- 二人のお子さまを育てながらタレントとして大活躍されていますが,仕事と家庭の両立は大変ではありませんか?

曽根 初めての子どもが生まれて間もない頃は,時間管理に苦心しました。子どもとの時間を大切にしたいけれど,仕事もきちんとやりたい。そう思うと,全然時間が足りません。特に大変だったのは,食事作りです。「子どもには手作りのご飯を食べさせたい」と思っていたので,離乳食作りも手を抜くことができなくて。今思えば,「こうしなきゃいけない」と自分で決めた「子育てルール」に縛られ過ぎていたように思います。すべてを完璧にしなくても,子どもは案外すくすく元気に育ってくれると気がついてからは,気持ちが楽になりました。

もちろん大変なことばかりではなく,子育ては喜びでいっぱいです。あんなに小さかった子が言葉を話すようになり,絵を描けるようになり,成長していく姿に日々感動しています。叱ることもあるけれど,子どもが一生懸命書いた手紙をくれたり,私の誕生日に似顔絵を描いて贈ってくれたり,嬉しいことは数えきれないほどあります。子育てを通じて私自身が「母親にしてもらっている」と実感しています。

- 忙しい中で時間をやりくりするために工夫していることはありますか?

曽根 料理時間の短縮に大活躍しているのが,手作りの冷凍ストックです。仕事を終えた夜中や休日など時間のある時に野菜を切ってパックに小分けし,冷凍しています。シイタケ,エノキ,しめじを切ったキノコミックス,ごぼうとニンジンのささがき,セロリやパプリカ,キャベツの野菜ストックなど,何種類も作っておいて,仕事から帰ってきて時間がない時,キノコミックスにネギを入れてお味噌汁にしたり,野菜パックにトマト缶を混ぜてスープを作ったり。今は限られた時間をやりくりする知恵がつきました。

ありがたいことに職場も理解があって,撮影現場の楽屋に子どもを連れて行って,メイクの合間に離乳食を食べさせることもよくありました。私は仕事が大好き。さまざまな人や食と巡り合い,毎回新しい発見があります。だから,仕事も家庭も楽しんで続けられるのだと思っています。

- 仕事と家庭を両立するために大事な存在は何だと思いますか?

曽根

やはり一番は,夫です。私は京都府出身,夫は沖縄県出身で二人とも実家が遠く,両親の助けを受けるのが難しいこともあって,子どもが生まれた時,「人生で子育てできる時間は限られている。だからできるだけ自分たちの力でやってみよう」と話し合いました。結婚当初,家事は私の役割だったのですが,子どもが生まれてからは家事も育児も「できる人がやる」というスタンス。ふだんから気づいた人が洗濯をしたり,皿を洗ったり,自然と家事を分担しています。夫は義務感からではなく「自分も子育てに関わりたいから」と前向きに動いてくれます。私が忙しい時は,夫が仕事の合間に短時間帰宅して,子どもをお風呂に入れてからまた仕事に戻ることもありました。

ママ友の存在も大きいですね。仕事で幼稚園に子どもを迎えに行けない時,ご自身のお子さんと一緒に私の子どもも連れ帰り,公園で一緒に遊んで待っていてくれたりと,助けてもらいました。わからないことを相談できる母親の先輩がいるだけで心強いものです。

- 仕事と子育てを両立させるコツはありますか?

曽根

自分自身の反省を込めて思うのは,もう少し周囲を頼っても良かったなということです。身近な人だけでなく,例えば地域にも子育てを助けてくれる機関があるし,幼稚園ではなく保育園を選ぶだけでも随分変わっただろうと思います。無理をせず,視野を広げて選択肢を増やせばよかったなと今は思っています。

もう一つ大切だと実感しているのが,夫婦で話し合うこと。私と夫は子育てに対する考え方が似ていて意見が食い違うことはあまりありませんが,それでも時には衝突することもあります。そのたびに徹底的に話し合い,試行錯誤を重ねて今のかたちにたどり着きました。家事・育児の分担や働き方は人それぞれで,正解はありません。パートナーと話し合って,納得できるかたちを探ることが大切だなと思っています。

- 新型コロナウイルス感染症の影響で,多くの人の働き方や暮らし方が変化しました。ご自身の生活や意識に変わったところはありますか?

曽根 私も夫もリモートでの仕事が増え,家にいる時間が各段に増えました。外出もままならなかった期間,心配だったのが,元気な子どもたちといかに家の中で時間を過ごすか。でも実際は,オセロや将棋,すごろくなどのゲームを一緒にするなど,遊びは尽きませんでした。「家の中でも楽しめることはたくさんある」と知ったのは,嬉しい発見でした。

日々の生活習慣も大きく変わりました。子どもたちが誰に言われなくても自発的に手洗い,うがい,アルコール消毒をするようになったのもその一つです。「もし感染したら,おじいちゃん,おばあちゃんに会いに行けなくなるかも」などと,子どもなりに考えているんだと思います。

- 今後の目標を聞かせてください。

曽根 これからもずっと仕事を続けていきたい。仕事を通じて,たくさんの人に「食」のおもしろさ,食べる楽しさを知ってもらいたいと思っています。

一方で子育ても気負うことなく楽しんでいきたいですね。上の子どもが小学3年生,下の子も5歳になり,以前ほど手がかからなくなりました。今の楽しみは,小学生の娘と一緒に夕ご飯を作ること。子どもたちに料理やお菓子作りの楽しさを教えて,私の家事を減らせたらと企んでいます(笑)。